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宅地建物取引業免許の取得要件(専任取引士の要件②)~「常勤」の定義と「専従性」

2017.11.05更新

専任の宅地建物取引士となる要件

前回の記事(宅地建物取引業免許の取得要件(専任取引士の要件①)~6つの具体的な事例)で、専任取引士の要件を紹介しました。
専任取引士となるためには次の2つの要件を満たす必要があります。

  • 1.事務所に常勤すること(常勤性)
  • 2.専ら宅建業の業務に従事すること(専従性)

今回は、前回の記事で書ききれなかった要件の詳細について書いてみようと思います。

「常勤」の定義

ある行政庁の窓口担当者の回答によると、「常勤」とは申請会社の事務所に「毎日(常駐ではなく)通勤できること」と言うことができるそうです。
特に毎日何時間以上事務所にいなければならないとか、そういった定義は無いそうです。
定義が不明確な「社会通念上」という言葉はあまり好きではありませんが、社会通念上、宅建業者の営業時間中に常勤することが求められるとの回答でした。

ちなみに、パートやアルバイト等、勤務時間に制限がある場合、常勤とは認められないと手引きに書いてあります。

単純に雇用形態の名称によって常勤性を線引きされてしまうのは、やや違和感があります。
例えアルバイトであっても、雇用契約の契約内容の範疇で労働条件を調整できるはずだからです。
他に勤務先が無く、宅建業者のみに正社員と同等の時間勤務している場合は実質的に常勤性を確保できているのではないでしょうか。

この辺りを行政庁の窓口に聞いてみたところ、実際に常勤していれば、たとえアルバイトという雇用形態であっても、常勤性は認められるとの回答がありました!
この点、パートは基本的に短時間勤務を想定している雇用形態ですからパートの方を専任取引士とするのは難しいでしょう。

「専従性」って何?

専従性とは、専任の宅地建物取引士は原則として宅建業のみに従事してくださいってことです。

そうだとすると、次のような疑問が出てきませんか?

①例えば、建築士事務所の管理建築士や建設業の専任技術者と、宅建業の専任取引士は兼務できるか?

前回の記事でも触れましたが、原則は認められないものの、同一法人、同一場所の営業所であって、業務割合等を斟酌して専任性が妥当と認められる場合は、兼務が認められる可能性が高いです!

②一人会社(代表兼専任取引士)の場合、雇用しない限りは兼業が出来ないことになるのか?

宅建業を営む場合、保険代理店や賃貸管理業、不動産コンサルティング等を兼業とする企業も多いと思われます。
もしも専任取引士が宅建業以外の業務を全く行えないとすると、一人会社の場合は宅建業以外の業務が出来ないことになってしまいます。

やや複雑な回答になるのですが、上記のような保険代理店等を兼業とする場合は、基本的に一人会社でも兼業可能と考えて良いそうです。
しかし、例えば飲食店を兼業(喫茶店と宅建業者)する場合などは、お店と事務所との2つの場所が存在することから、専従性が否定されてしまうとのことです。

じゃあ◯◯業ならどうなの?って質問がありそうですが、個別具体的に判断する必要がありますので、ご不安な方は管轄行政庁や行政書士までご相談いただければ幸いです。

③個人事業で士業を営んでいるが、宅建業を兼業することは可能か?

例えば行政書士等を個人でやっている先生が、宅建業を始めたい場合などがこのケースに該当します。

次の条件を全て満たせば、行政書士等をしながら宅建業の免許を取得することができる可能性が高いです!

  • 個人事業で士業と宅建業を兼業すること
  • 士業事務所が独立性を保っていて、同一事務所で宅建業を営むこと
  • 士業側で兼業することに問題がないこと

よくあるのは、士業側が法人であったり、宅建業を取得したいのが個人ではなく会社であったりする場合です。
この場合は残念ながら同一の事務所であっても専任性が認められませんので、注意しましょう。

次回は各事務所に必要な専任取引士の人数、その人数を欠いたらどうなるのかについて書いてみたいと思います!

次回は、宅地建物取引業免許の取得要件(専任取引士の要件③)~専任取引士の必要人数